婿投げ2017
2017/12/28
タイトルに「ん?」と思った人も多いことでしょう。
本日は12月16日。
1月15日に行われる「婿投げ墨塗り」まで、
あと1ヶ月を切りました!
ということで…どういうことがよくわからないと思いますが…
1年前の婿投げ墨塗りを振り返ってみようと思います。
大人の事情です(笑)
2017年の冬は小雪でした。
松之山温泉スキー場のオープンが12月31日。
その後、年が明けてからも10日間ほとんど降らず。。。
これははたして婿投げができるのか?と。
やるんですけど(笑)
そんな状況で婿投げ2017は1月11日からスタートしました。
とりあえず雪を集めないと危ないと。
積雪は40~50㎝しかありませんでしたから。
婿投げの着地地点はコンクリートの階段です。
危ない(笑)
そこで着地地点に雪を入れました。
薬師堂の屋根雪の少なさからも小雪具合がわかりますね。
薬師堂の周り、かなり広範囲から雪をもってきて、
ランディングバーンに落としました。
と・こ・ろ・が・・・
この日の夜から猛烈に雪が降り出しました。
まれに見る密度でドンドンドンドン積雪が増えていきます。
あまりのドカ雪にテレビ局も取材に来ました。
…インタビューされました。
『雪がたくさん降って大変ですね~どうですか、この雪は?』
と聞かれてので、
「恵みの雪です!今年は婿を思いっきり投げられます!」
と答えたら、
全国放送のワイドショーではカットされ、
県内のニュースでは放送されました(笑)
ちなみに被っているのはヘルメットですが、
こういう形状のヘルメットが売っているわけではありません。
閑話休題。
13日から14日にかけての24時間降雪は…なんと100㎝!!
数日前までは雪が少なくて危なかったのですが、
あっという間に、雪が多すぎて危なくなったのです。
窒息の危険。
そこで、14日にランディングバーンを踏み固めました。
薬師堂の屋根が凄いことになっているでしょ(^^;)
この日の作業はとにかく過酷でした。
雪が深すぎて…
腰まである雪を踏みつけながら道付け。
賽の神の芯棒の切り出し。
切り出しておいた杉の葉っぱを掘り出すのも大変。
それでも何とか午前中に作業を終え、
お祝い会場の準備などをしていると一報が入り…
JR上越線が大雪で運休。
代行バスが出ているものの、
どう考えても迎えに行った方が早いということで、
越後湯沢まで主役をお迎えに上がりました。
さてここで、ようやく(笑)
婿投げ2017の主役の紹介です!!
笠井将嗣・清美ご夫妻です!
職場で知り合い、平成28年6月3日に入籍されました。
鹿児島県出身の将嗣さん(当時42歳)、
長野県出身の清美さん(40歳)の落ち着いた大人のカップルです。
実は…婿投げ2017では地元の婿がいませんでした。
笠井さんは一般公募で、7組の応募者の中から選ばれました。
地元の婿がいないので、
なるべく松之山温泉にゆかりのある方ということで、
白羽の矢が当たったわけです。
笠井将嗣さんは、10年以上前から農体験で松之山に来ていて、
その受け入れを松之山温泉組合や松之山温泉合同会社まんまで
行っていたため、オラたちとは旧知の間柄でした。
そのイベントだけでなく、松之山温泉を気に入ってくださり、
プライベートでも何度も旅行にいらしてました。
松之山のことをよくご存じで、その魅力を伝えることができ、
またオラたちの婿投げ墨塗りにかける思いを
十分に理解されている方で、まさに適任の婿さんです(^^)
お酒も大好きですし(笑)
そんな笠井夫妻を迎えて、婿投げ2017の当日です。
当日準備のメインは賽の神づくり。
集落のほとんどの家が協力し、大きな大きな賽の神を作ります。
完成するとこんな感じ。
これは2016年の賽の神です。
2017年は写真撮り忘れ(^^;)
天気も落ち着いて、まさに婿投げ墨塗り日和となりました。
午後1時。
いよいよ婿が担がれ、温泉街をパレードします。
凛々しいお婿さんです。
お婿さんを担いでいるのは笠井さんの同僚や友人たちです。
かなり体力が必要なのですが、
笠井さんの晴れ舞台ですから、フルパワーで担ぎます。
でも、まぁここは楽ちんなんですけどね。
湯守処「地炉」に到着すると、お祝い会が始まります。
主役はもちろんですが、笠井さんの親御さんたちや地元民、来賓…
などなどが酒を酌み交わします。
ここでしっかり酒を飲まないといけないんです。
身体を柔らかくしておかないと(笑)
だから、かわるがわる主役に酒を注いでいきます。
途中自己紹介などもしてもらいながら楽しい宴となりました。
取材陣も殺到(^^;)
午後2時。
いよいよ出発です!
地炉から薬師堂まではノンストップ。
絶対に婿を落としてはいけません。
しかしながら待ち受けるのは峻険な急斜面。
雪がなくても歩いていくのが大変なのに、
お婿さんを担いで、足元の悪い雪道を上がるのです。
3人の騎馬の背中をみんなで押します。
押す人数がどんどん増えていくんです。
それほどきつい!
扇を逆さまにしたような体制で一気に登り切ります。
実はここがこの行事のいいところなんです。
新婚のお婿さんを集落の民が力を合わせて、薬師堂まで運ぶ。
結婚の祝福と、地元のコミュニティへの歓迎と、若者たちの結束と、
いろいろな要素が形になった騎馬なのです。
登り切った達成感は何とも言えないものがあります。
まさにこの瞬間です。
ホッとする瞬間。
乾ききった喉は酒で潤します(笑)
ここでも乾杯!
さて、いよいよ婿投げです。
ランディングバーンは前日からの雪で
最高のコンディションになりました。
お婿さんは薬師堂で待機。
奥さんは下で心配そうに待っています。
地元の投げ手は、遠くへ飛ばそうと足場を固めます。
準備が整うとお婿さんが連れ出され…もはや俎上の鯉(笑)
胴上げをしながら「いち、にの、さん」で投げるのですが、
毎年やっているんですが…
「いち、にの」の「の」をいれるかどうか確認します。
「いち、にの」の「の」の時には
体が上にあるか下にあるかを確認します。
タイミングが合わないとうまく投げられませんから。
そして…お婿さんの恐怖心をあおる効果もあります(笑)
オラも一回だけ投げられたことがありますが、
相当怖いんですよ、ホントに。
その婿投げ、見事な連係と素晴らしい雪煙をご覧ください!
大変よくできました~~~(^^)
欲を言えば、もう少し遠くまで(笑)
婿投げの後は墨塗り祭りです。
こちらはれっきとした神事ですので、厳かに行います。
そう、最初だけは厳かに。。。
賽の神に火をつけ、燃えた藁灰と雪を掌で混ぜて墨汁を作り、
「おめでとう!」と言いながら顔に墨を塗るんです。
厳か…なわけがない(笑)
始まるとあっという間に真っ黒になります。
みんな真っ黒。
みんな笑顔(^^)
この祭りを経験したことのない人は、引きますよね、完全に。
特に女性なんて、絶対塗ってほしくないと思うんですよ。
実際、墨塗りが始まると
逃げるように去っていく人もたくさんいます(笑)
追いかけますけどね。
地元の若手が真っ黒い顔でしみじみと言いました。
「やっぱ、墨塗りって楽しいですね!!」と。
そうなんです。
これね、楽しいんですよ。
もうね、一回塗られるとどうでもよくなるの(笑)
そうなりゃ~塗りたくなるでしょ、人の顔に。
で、塗りに行くと塗られるわけで、
もはや笑うしかないんです(^^)
最後はみんなが黒い顔をして、炙ったイカをつまみに酒を飲みます。
後片づけの段取りとか、わりとまじめな話をします。
この顔で。
笠井さんは相当なプレッシャーがあったと思います。
例年は複数組いる主役なのですが、今回はたった1組。
しかも「準地元婿」的な部分もありましたし。。。
しかしながら婿投げ墨塗りへの参加姿勢、地元民との語らい、
メディア対応に至るまで、
本当に素晴らしい主役を務めてくれました。
感謝、感謝です。
オラたち、主催者側も心配は尽きませんでした。
もし体調を崩したりすれば、お婿さんがいなくなるわけですから。
さらに3日間で200cmほどのドカ雪。
雪が少なくてやれるのか、多すぎてどうなんだ、と。
近年まれにみる過酷な婿投げ墨塗りでしたが…(笑)
笠井さんのこの笑顔に救われました。
越後の奇祭 十日町市松之山でむこ投げ・すみ塗り https://t.co/iIYOb2Mnyt pic.twitter.com/ZKZ5wxz8WQ
— 【開局10周年】エフエムとおかまち (@fm783) 2017年1月23日
婿投げ2017はとってもいいお祭りとなりました。
そして…立派に塗り塗られ~
松之山温泉で墨を落とした後は、
たっぷり慰労会をしたのは言うまでもありません。
実際にオラたちは参加しているので、
ほとんど写真やビデオをとることができません。
そのためにこの記事では
SNSの投稿を埋め込んだりさせていただきました。
しかし、松之山温泉公式ムービーが存在します。
これをみれば、当日の様子がよくわかりますので、
是非ご覧ください。
さて、婿投げ2018は如何に?(^^)
本日の松之山温泉は晴れ。
これから雪が降るそうです。
あちゃの。