昭和40年頃、案内された材木商がその美しさに「人間に例えれば美人の頃かなぁ」と呟いたのが名前の由来という美人林。 大正末期にブナを全て伐採し薪や炭にしたのち、数年に一度のブナの大豊作で一斉に芽吹いたために、高さや太さが整ったブナ林が誕生しました。杉林への転換が検討された時期もありましたが、集落の熱意でブナ林のまま残されました。徐々にその絶景が知れ渡り、現在では年間10万人以上が訪れる人気スポットとなりました。
もともとこのブナ林は集落の生活に密着していて、よく写真に撮られる池は農業用水となっています。水源はブナや地面が蓄えた雨水だけというから驚きです。林内には炭焼き窯の跡も残っていて、ブナ林と共生していたことが窺い知れます。そんな里山の生活やブナ林の植生、野鳥や動物などの生態系をガイドしてくれるのが「里山の恵み案内人の会」の皆さんです。松之山温泉合同会社まんまではガイド付きの美人林ハイキングを企画しています。積雪期のスノーシューでの美人林歩きはとても人気があります。
あまりにも大勢の方が訪れるので本来落ち葉でフカフカだった地面が硬く踏みしめられています。ブナにとっての環境を整えようと保護活動が行われています。地域の学校による清掃やボランティアによる同じDNAをもつブナの葉を敷き詰める活動などです。悲しいことにブナにも寿命があります。このような活動が功を奏し、少しでも長く多くの人の癒しの場になればいいなぁと思います。
私は雨の美人林が好きです。